2508-000342-02 創立30周年記念誌_本文 デジタルカタログ
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31の利益を優先せざるを得ません。本来は、社会課題解決と企業利益の間の「第三の道」が必要だと考えています。例えば、アメリカのパブリックベネフィットカンパニーのような仕組みです。髙子:なるほど。青年会議所も地域課題解決を目指していますが、大空さんは社会構造そのものを変えようとしているように感じます。大空:そうですね。単に目の前の課題を解決するだけでなく、社会の仕組み自体を変えていくことが重要です。例えば、企業が地域とつながり、従業員の社会参加を支援するような仕組みづくりが必要だと考えています。髙子:具体的にはどういったアプローチを考えていますか?大空:定年前の10年間で、社員を地域のさまざまな活動につなげていく。年に一回の形式的なボランティアではなく、日常的に地域と関わる仕組みです。企業が本当の意味で地域の居場所になることが重要です。髙子:最後に、誰もが幸せを実感できる社会のために、私たち青年会議所に何ができるでしょうか?大空:大切なのは、自己責任の正しい捉え方です。今の社会では、自己責任が懲罰的な意味合いになっていますが、本来は互いの人生の決定権を尊重し合うことが重要です。目の前の人が失敗したら「お前の責任だ」ではなく、相手を尊重し、自分も尊重する関係性を作ることが大切です。髙子:社会貢献においても、自分を大事にすることが重要ということですね。大空:その通りです。ボランティアは誰かのためではなく、自分のためにやるものです。利他的な人であればあるほど、利己的であっていただきたい。自分を犠牲にして誰かに手を差し伸べると、負の連鎖が始まってしまいます。みんなで豊かになるためには、絶対に自分第一主義に徹しなければいけません。髙子:まさに、青年会議所のメンバーに最も伝えたいメッセージですね。大空:自分第一主義を貫くことで、必ず他者を支える余白が生まれます。それが本当の意味での利他的な活動だと思います。社会や世間が、そういう姿を求めるようになれば理想的ですね。髙子:本日は本当に貴重なお話をありがとうございました。私たち青年会議所も、大空さんのお話を胸に、地域社会の変革に取り組んでいきたいと思います。大空 幸星 様(Koki Ozora) プロフィール学生時代に『NPO法人あなたのいばしょ』を創設。現在、自由民主党所属の衆議院議員。 内閣官房孤独・孤立の実態把握に関する研究会構成員、こども家庭庁こども家庭審議会こどもの居場所部会委員、東京都こども未来会議委員などを歴任。相手を尊重し、自分も尊重する関係性をつくることが大切

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