第30代理事長 髙子 景34髙子:私たち青年会議所は「人づくりとまちづくり」を活動の中心に据えています。世界109カ国に組織を持ち、国際的なネットワークを通じて社会に貢献する団体です。国際的に通用するリーダーを育成し、地域や社会の課題を解決することを目的としています。その中でも、たとえば大盆栽祭では「埼玉中央青年会議所理事長賞」を設け、私自身もプレゼンターを務めています。また、今年は30周年記念事業として日本青年会議所のリーダーシップ研修をさいたま市に誘致しました。世界70カ国以上から次年度の国のトップとなる予定者が集まり、1週間ホテルに缶詰になって研修を受ける大規模な事業で、さいたま市誕生以来最大の国際コンベンションとなりました。他にも、氷川神社でのイルミネーション事業など、地域資源を活かした活動も行っています。ただ、盆栽に関しては理事長賞を設ける以外、積極的に関与できていませんでした。しかし今回の国際事業を通じて、海外の方々が盆栽を見て大変喜ばれる姿を目の当たりにし、改めてこの地域が誇る文化だと強く感じました。加藤:その通りです。大宮は戦前から盆栽界を牽引してきました。蔓青園三代目、三郎氏が小渕総理の際にアメリカ政府に国として盆栽を寄贈し、その際に総理と一緒に同行してホワイトハウスまで盆栽の説明に伺いました。その後、世界に盆栽を広める運動が設立し、世界盆栽友好連盟が発足され、第1回世界盆栽大会が大宮の地で開催されました。今では欧米、アジア、アメリカなど、盆栽という文化が全世界に広がり、世界中の人々が盆栽村を訪れています。髙子:一方で、地元の方ほど盆栽の魅力を実感していないという声も耳にします。加藤:確かにそうです。かつて30軒あった盆栽園も、現在は6軒にまで減少しました。理由は土地環境の問題や後継者不足です。ただ、地域の有志が垣根を整えたり、鉢を育てたりする活動を続けており、地元の人が盆栽村の価値を見直す動きも出てきています。髙子:経済面での課題も大きいですね。加藤:盆栽は購入者も「一時預かり」として代々引き継ぐ存在であり、売ったら終わりではなく、その後のケアも含めて責任があります。だからこそ、商売としての効率性と文化継承の狭間で葛藤があるのです。髙子:なるほど。我々青年会議所も、直接的な経済活動よりもリーダー育成を通じた間接的なまちづくりを重視していま大宮盆栽協同組合理事長 加藤 崇寿様大宮は戦前から盆栽界を牽引してきました。対談 vol.6背景が異なるからこそ、背景が異なるからこそ、同じ盆栽を見ても評価が分かれる。同じ盆栽を見ても評価が分かれる。しかし、それが対話のきっかけになり、しかし、それが対話のきっかけになり、国際的な文化交流に繋がる。国際的な文化交流に繋がる。×
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