41さいたま市・上尾市・伊奈町による特別市の実現へ。これこそが、創始の精神を現代に生かし、次の30年に向けて私たち埼 • 県に代わり担う事務経費:約160億円 • 税制上の措置:約72億円 • 不足額:約90億円また、市民が納める県税に対して、交付金や補助金として還元される割合は約30%に過ぎない。これらの事実は、政令指定都市制度そのものの限界を如実に示している。とで、いっそう確かなものとなる。玉中央青年会議所が提示すべき挑戦である。特別市制度道府県特別市行政区市町村さいたま市が埼玉県に代わり行っている行政事務• 児童福祉• 民生委員• 国道県道の管理 等160億7,289万4,000円(県費負担職員給与除く)※令和6年度予算ベースの概算約90億円が措置不足税制上措置される額71億6,700万円国創始の精神1996年、浦和、大宮、与野、上尾の各青年会議所が自ら解散し、新たに統合して誕生したのが埼玉中央青年会議所である(2004年に岩槻青年会議所と合併)。これは単なる組織再編ではなく、県下初の政令指定都市の実現と、自立した都市の未来像を描く先駆的行動であった。設立総会では「まず三市の合併、その後に上尾市・伊奈町を含めた二段階合併を目指す」との発言がなされ、さいたま市誕生を先取りした姿勢こそ、創始の精神である。現状分析 ― 政令市制度の限界政令指定都市さいたま市の設置を実現したものの、真の自立都市への道のりは依然として遠い。それは政令指定都市という制度自体がいくつかの課題を抱えているためである。例えば、さいたま市は県に代わり数多くの行政事務を担っている。児童福祉、民生委員の配置、国道・県道の管理などがその一例である。しかし、その負担に見合う十分な財源措置は講じられていないのが現状である。特別市へ特別市とは、政令指定都市を超えて都道府県から独立し、広範な自治権と税財源を持つ都市である。現在、横浜市や川崎市が中心となり、指定都市市長会が法制度化を目指す新しい自治体の形であり、その意義は次の通りである。1.自治権の拡大:医療・子育て・都市計画を市が独自に担える2.二重行政の解消:責任の明確化と行政の効率化3.税財源の自立:固定資産税・法人住民税を直接得て柔軟な財政運営が可能4.国際競争力の強化:ニューヨーク・上海・ソウルのように、国家に準じた強い権限を持ち、世界都市間競争を勝ち抜く未来への展望今後、日本は人口減少時代に突入し、都市間競争は世界規模で激化する。過度に東京に依存する現状を脱却し、真の自立都市=特別市さいたまを目指すことが必然の選択である。青年会議所の使命は「必要に迫られて動く」のではなく、「未来を先取りして描く」ことである。創立30周年を迎えた今こそ、私たちは改めて創始の精神に立ち返り、特別市実現という新たな挑戦を提示する。まとめ「さいたま市を、東京に依存しない真の自立都市へ。そして世界都市と対等に競う特別市へ。」その未来像は、単独のさいたま市にとどまらず、上尾市・伊奈町を含めたより大きな都市圏としての発展を視野に入れるこ~真の自立都市実現へ~地方自治に関する調査・研究事業報告書Reborn1995
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